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2026.07.28約6分

【連載コラム:PLM導入と活用のヒント#1】PLM導入の目的設定と「製品データ管理」の極意

【連載コラム:PLM導入と活用のヒント#1】PLM導入の目的設定と「製品データ管理」の極意

われわれ南国ソフトはPLM業界では新参者ですが、PLMサービスの責任者は自動車メーカー2社で設計実務経験と設計開発部門へのCAD/PLM推進を担当し、さらに複数のCADベンダーでお客様のCAD/PLM導入や業務改革を支援してきた実績があります。その25年以上にわたる現場でのリアルな経験を元に、実践的なPLM活用のヒントを4回のシリーズでお届けします。 第1回目はPLMシステム導入初期に陥りがちな”なかなか効果も見えず展開状況も芳しくない”という状況に至る理由と、その打開策について解説します。

なぜPLM導入の効果は実感しにくいのか?

PLMシステムの導入にあたっては、社内決裁を得るために「年間〇万円相当の費用削減」といった見込み効果を掲げることが一般的です。ところが導入後しばらく経ち、「あの投資の効果はどうなったのか」と問われた段になって、返答に苦慮するケースは少なくありません。

その要因として大きいのは、導入検討時点での見込み効果の設定が粗いままになっていることだと考えられます。たとえば「設計効率が30%向上し、削減できる設計工数を費用換算するとこれだけになる」というロジックで効果を算定した場合、検証の段階で拠り所となる実測値がありません。そうなると、データの検索に要する時間が1件あたり何分短縮された、といった細切れの数字を件数分積み上げて効果額を組み立てることになりがちです。設計効率という言葉の定義が曖昧なまま作られたこの種の数字は、実際の開発業務における実感とは乖離しており、受益部署からみれば効果として意味を持たないものになってしまいます。

したがって目標数値を設定する際は、その測定方法とセットで決めておくことが重要になります。「設計効率」を「開発プロセスを見直して試作回数を減らし、設計期間を短縮すること」と定義したのであれば、現状の試作品の発注タイミング・台数・費用を正しく把握することが次の作業になります。ここまで具体化しておけば、効果検証の場で削減額を確認するだけでなく、何がうまくいき何が想定どおりに進まなかったのかを客観的に評価でき、次の施策につなげやすくなります。

意外と出来ていない導入推進部署と現場部署との目標のすり合わせ

効果を語りにくくするもう一つの要因は、効果を実際に生み出す部署との合意が不十分なまま導入が進んでしまうことです。ある程度の規模の会社では、情報システム部門や企画部門などの推進部署が稟議決裁を取得し、設計部門などの受益部署へ仕組みを提供するという進め方が多く採られています。この場合、両者の間で効果に対する認識が曖昧になりやすい構造があります。

たとえば推進部署が「設計工数の削減目標を達成しました」と宣言しようとしたとき、受益部署である設計部門の立場からは、それを認めることで人員が削減されるのではないか、より多くの開発案件を担わされるのではないか、という警戒が生じます。結果として、実態としては改善が進んでいるにもかかわらず、効果として認定されないという事態が起こります。

こうした状況を避けるには、導入の検討段階で、設計効率をどのように測定するのか、効率化によって浮いた工数を何に充てるのかを、双方が本音で議論して合意しておくことが必要です。開発期間の短縮に充てるのか、残業時間の削減に充てるのか、あるいは他部門への人員シフトに充てるのか。この合意ができていると、では設計プロセスの何をどう変えるのかというブレークダウンも進めやすくなり、導入後の展開もスムーズになります。

全ての土台となる「製品データ管理」のルール作り

目的と目標が定まったら、まず最初に着手すべきは製品データのマスター管理です。似た名前のCADファイルが各所に存在してどれが最新版か判別できない、同名のファイルを開くと形状が異なっている、といった事象は多くの会社で発生しています。

ここで陥りやすいのが、最初からすべてのデータを完璧に管理しようとすることです。仕掛中のデータは一旦対象外とし、まずは出図したデータなどのマスターデータに絞る、という割り切りが有効です。ルールは少なく、かつ理解しやすいものにします。最も重要な原則は、各ファイルがユニークな名前になることです。ファイル名に日付やバージョンを含めず、同一のファイル名のままPLMのバージョン管理機能で履歴を管理する形にしておくと、後々の管理負荷を抑えられます。部品番号や設変番号といった情報は、ファイル名ではなく属性として保持させます。属性項目は当初は5項目程度に留めておくことをお勧めします。

同時に、ルールが自然と守られる状態を作ることも欠かせません。フォルダの作成・削除は管理者のみに限定する、承認済みのデータは一般ユーザーが移動・削除できないようにする、アクセス権はファイル単位ではなくフォルダ単位で制御する、といった設定です。近年は蓄積したデータをAIで検索・活用したいという要望も増えていますが、素性の判別できないデータが混在した状態では、期待した結果は得にくいと考えられます。AI時代のデータ活用の前提としても、マスターの一意性を担保するルール作りが土台になります。

アナログ情報を会社プロセスから緩やかに締め出す

製品データ管理を根付かせる過程で必ず論点になるのが、紙図面の位置づけです。長く紙図面を唯一の正としてきた会社では、PLMに格納されたデータは補助的な資料として扱われがちです。ここを早い段階で切り替え、正はPLM上のマスターデータであり、紙はそれを閲覧・回覧するための媒体に過ぎない、という認識を関係者で共有することが起点になります。

とはいえ、紙や既存の図面管理システムを一度に廃止することは現実的ではありません。図面管理システムが部品調達や購買の機能を担っている場合、改修には技術的な制約と費用の問題が伴います。承認する立場の方がCADやPLMを操作しないという事情もあります。ですので、日々の業務が回る状態を保ちながら、紙が担っている役割を少しずつPLM側へ移していきます。

具体的には、次のような手立てを順に取り入れていく形になります。まず、図面の表題欄付近に該当するCADデータのファイル名や格納場所を掲載し、双方の対応関係が誰にでも判別できる状態にします。次に、CADデータについてもPLM上で電子承認を行い、承認後は変更できないようにします。承認者がPLMを操作しない場合は、紙図面への承認を受けて第三者が代行で電子承認する運用でも支障はありません。そのうえで、紙の図面のみを修正して済ませる運用を禁止し、CADデータと合わせて改訂することを必須とします。ここに例外は設けないことをお勧めします。形状に影響しない注記の修正であっても、PLM上のマスターデータを改訂したうえで紙を更新するという順序に統一します。修正の軽重にかかわらず、直すべき対象はPLM上のデータであるという認識に変えていくことが要点です。例外を一つ認めると、どこまでが例外に当たるかの判断が担当者ごとに広がり、図面とCADデータの対応を確認する作業が再び発生します。判断の余地を残さないほうが、運用としても徹底しやすくなります。

こうした手立てを積み重ねていくと、調達や生産準備といった正規の業務プロセスが、PLM上のマスターデータを参照して回る状態に移っていきます。紙は承認の記録と閲覧のための媒体という役割に収まります。AIによるデータ活用を検討する際にも、参照すべきデータがPLM上で一意に特定できることが前提となります。

現場の痛みを熟知する南国ソフトの実践的サポート

データ管理のルールを現場に適用し始めた時期は、必ずしも歓迎されるわけではありません。運用開始直後はユーザーとして利用する部署から厳しい意見を頂くこともあるでしょう。しかし決して安易に妥協することなくルールの見直しと追加を重ねていくことが重要です。いままで慣れた作業を変えることには時間がかかるものです。

南国ソフトは、こうした導入から定着までの過程を自動車メーカーなどの現場で実際に経験しております。反発が生じる箇所も、それをどう調整していくかも経験しておりますので、御社の実情に照らして無理のない進め方をご提案できます。

現場目線の確かなサポートとUXUIを基軸とした技術力で、御社のPLM推進を支援いたします。ぜひお気軽にご相談ください。

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南国ソフトは2026年1月からPTC社のパートナーとして活動しています

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